平成23年度JCOMM賞 受賞者概要

JCOMMプロジェクト賞
金沢市内の小学校を対象とした金沢版交通環境学習の継続的取り組み

             金沢市都市政策局交通制作部歩ける環境推進課
                  交通エコロジー・モビリティ財団
                         株式会社計画情報
                             高山純一

                   

 金沢市では、平成19年度から交通エコロジー・モビリティ財団の支援を3ヵ年受け、平成21年度に金沢の地域性や教育方法に配慮した「金沢版交通環境学習」を確立した。平成22年度から本格実施となり、自転車安全教室と併せ、市内全小学校の3年生を対象とした導入版プログラムと、46年生を対象とした発展版プログラムが実施されている。
 導入版では、自転車安全教室の事前学習に併せ、かしこいクルマの使い方やバスの乗り方について説明した「金沢版交通環境学習導入版DVD」を教員により視聴させ、自転車安全教室当日は、送迎用の路線バス車両で学習したバスの乗り方を実践、また指導員によりふりかえり学習を行っている。発展版では、実施希望校小学校教員と協力しながら、教員の自立的実施を目指し、当面は市が出前講座を行っている。発展版プログラムは、3つの標準パッケージプログラムを基本としているが、役割により「メインディッシュ」「副菜」「デザート」の小プログラムで構成されており、教員のニーズに合わせて上記の小プログラムを組み合わせることにより、学習プログラムを組み立てることが可能である。6年生2クラス72名の児童が、普段のクルマの使い方を振り返り、夏休み中に「めざせクルマ利用マイナス60分!」に取り組んだところ、約7,100分のクルマ利用を控え、2?ペットボトル約13,600本分の二酸化炭素の削減ができたなどの成果も挙げられた。
 周知普及については、校長会や小教研での説明や、教員の夏休みの研修に位置づけたセミナーを開催し、市内全小学校の教員の参加を得るなどの取り組みを行っている。
 また、学習プログラムの確立や周知普及方法については、教員や市の学校指導課担当者からなる作業部会を設立し、検討を行った。
 現場教員の検討による教員ニーズに合った効果的な学習プログラムの確立、きめ細やかな周知普及活動は、長期的にみた安易なクルマ利用の抑制に働きかけ、既存制度との連携やDVDの作成などは、新規性、応用可能性が高いと取り組みであると言える。


 −JCOMM実行委員会から
 金沢市内全域の小学校を対象とした教育MMの取り組みで、導入版から発展版へと段階的な組み立てを通じ、プログラムがよく練られています。既存の自転車安全教室にうまく連動させることで広く実現を可能にし、バス事業者の協力や教員の自律的参加についても工夫がされています。家庭への波及効果や他都市への応用可能性も高く、完成度の高い学校教育MMプロジェクトとしてJCOMMプロジェクト賞に選定されました。





JCOMMプロジェクト賞

観・感・環、「ikeko」で発見!いけだのまねきエコ
〜大阪池田市の地域通貨「ikeko」と連携したMMと,一連のMMパッケージ展開〜

                 特定非営利法人いけだエコスタッフ
            池田市モビリティ・マネジメント検討会事務局
              (@池田市市民生活部環境にやさしい課)
              (A(株)オリエンタルコンサルタンツ)
                       池田新エネ推進協議会

池田市は大阪市の北部約15kmに位置する人口約10万人の都市である。空港や高速道路が通過する交通の要衝で、市内の国道は慢性的な渋滞が発生する一方、公共交通利用者の減少も見られる。また、大規模小売店舗の出店等もあり中心市街地の活性化も課題となっている。このような中、公共交通利用促進、低炭素地域づくりを目的としてMMを実施してきた。
 平成20年度より事業所を対象としたMMを開始した。平成21年度には、市民への浸透を図るため、「楽しみながらライフスタイルに溶け込んだ取り組みに」をコンセプトに市民共同発電(太陽光発電)の導入資金確保を目的とした地元商店で使える地域通貨(iKeco)を立ちあげ、これと連携した啓発(地域通貨MM)を実施してきた。また、事業所MMにも「楽しみながら」のコンセプトを加える地域通貨MMとの連携や、事業所MMから転入者MMへ発展など、パッケージ展開を進めてきた。
 これらの結果として、地域通貨MMでは約3割の市民が大型店舗から地元商店へ買物先を変更する意向を示すとともに、買い物時のクルマ利用が1割減少する効果が確認された。また、これらと市民共同発電の導入資金確保の効果をあわせ13鳥のCO2削減スキームが確立された。
 MMのパッケージ展開では、地域通貨MMの導入などのコミュニケーションを通じて事業所担当者の意識も変容し、自主的な活動に繋がった。また、転入者MMでも約9割が転換意向を示すなど、様々なパッケージ展開により高い啓発効果が確認された。

 MMと地域通貨の連携やパッケージ展開により、買物時の交通手段変更のみならず、地域の再発見や中心市街地利用客の増加などの効果を有機的に引き出すとともに、市民生活への浸透を図った。本取り組みは新しい環境基本計画にも位置づけられており、今後も「環境にやさしいまち・池田」にふさわしい、持続可能性、発展性のある取り組みとしていきたい。

 −JCOMM実行委員会から
 地域通貨とMMを連動させることにより、クルマ利用の削減と中心市街地活性化を同時に達成しようとした意欲的な取り組みです。参加者が楽しく地域貢献できるということが特長になっており、フリーペーパーによる幅広い情報提供が効果を発揮しています。事業所MMや転入者MMとも連動しており、まちづくりという観点から今後さらに発展の期待できるMMプロジェクトとして、JCOMMプロジェクト賞に選定されました。


                                               (以上、二件、50音順表記)


JCOMMデザイン賞
広報おおたけ


             大竹市(市民生活部市民課、総務企画部企画財政課)
 
 
大竹市は、広島県西端に位置する人口約3万人の市である。沿岸部の公共交通は、山陽本線と3便/日の路線バスのみで、マイカーやタクシーに頼らざるを得ない状況にあった。高齢化の進展にくわえ、平地部が少ないため、昭和40年代から高台の住宅造成が行われてきた。数十年が経過し、これら高台団地の高齢化が事態をより深刻化させている。運転ができなくなった方、運転していた配偶者が入院された方など、日常生活に不便を感じる方が増えている。これら市民の移動を守り、市域の活性化を図るため、平成2110月に市街地でのコミュニティバスと地域住民主導によるフィーダー交通の実証運行を開始した。
 当市では、バス導入以前より市民自らが守る仕組みを形成・維持すること、また市民への周知活動を充実・継続することが極めて重要であると強く意識してきた。その一環として、市広報誌「広報おおたけ」において関連情報の提供を、運行約1年前の平成2010月から、現在まで毎月欠かすことなく続けている。
 市広報誌は、市内全世帯への配布、かつ毎月発行が約束された媒体であり、読み手を飽きさせない努力(コンテンツの工夫)が大変であるが、その分、市民への周知や意識・行動変容に大きな役割を果たすと考えている。なかでも
平成2112月号(バス特集号)では、「HAPPY BUS DAY」のキャッチコピーとケーキの写真といった遊び心や、市民インタビューなど、読者の興味を引く記事となるよう心掛け、その結果、多くの市民にバスを認知していただけたと考えている。
 市広報誌等の利用促進策により、コミュニティバスの利用者数は伸び続け、平成21年度下半期が4.7人/便であったのに対して、平成22年度下半期は5.9人/便に増加している。今後も市民と共に利用促進に努め、10年後、20年後まで運行できるバスに育てていきたい。


−JCOMM実行委員会から
 制約のある市の広報をコミュニケーションツールとして活用し,30回に及ぶ長期間,広範囲に配布している点が「情報の出し方のデザイン」として高く評価されました.また,紙面デザインについても,幅広い層に向けて安定感のある構成となっている点,ならびに,実際に公共交通利用者が増加につながっている点も高く評価されています.他都市への応用可能性も高く,JCOMMデザイン賞に選定されました.




JCOMMデザイン賞

広島市のノーマイカーデー運動支援WEB サイト『マイカー乗るまぁデーくらぶ』

                    広島市道路交通局都市交通部
                     中村良枝(株式会社福山コンサルタント)
              金子俊之(株式会社福山コンサルタント)
              小笹俊成(株式会社福山コンサルタント)
              斎藤詩織(株式会社福山コンサルタント

 広島市では、毎月21222日を「マイカー乗るまぁデー」と定め、平成17年度より環境にやさしい交通行動の実践を促すノーマイカーデー運動を推進している。この取組の支援策の1つとして、クルマの利用を控えた取組報告がいつでもでき、その人の環境への貢献度が確認できる常設型のWEBサイト「マイカー乗るまぁデーくらぶ」を開設している。
 このWEBサイトでは、クルマの代わりに徒歩や自転車、公共交通機関を利用するなど、環境にやさしい交通行動を実践したときの取組報告がいつでもでき、取組によるCO2削減量や消費カロリーがグラフなどで視覚的に表示されるなど、環境への貢献度が確認できるシステムとなっている。また、取組回数やイベント参加に応じて、オリジナルキャラクターが成長する仕掛けを導入しており、参加者が楽しみながら取組報告を継続できるように工夫している。さらに、企業内の環境意識向上に活用できる団体登録制の導入、普段クルマをあまり利用しない人でも環境にやさしい行動をチェックできるクイズの導入、参加型イベントの定期開催、携帯電話での取組報告への対応など、誰もが親しみやすいWEBサイトづくりを実践している。
 WEBサイトを大規模かつ個別的なモビリティ・マネジメントの展開ツールとして活用し、アクセス頻度や滞在時間の増大により、個人の環境意識向上やフィードバック効果の持続が期待できる。また、団体登録制の導入により、企業単位でのCO2削減量や団体内ランキングが表示でき、環境意識向上や企業CSRへの活用が可能である(現在の登録会員数は3,165人、73団体)。
 広島市総合交通戦略(平成227月)では、本サイトの登録会員による取組報告件数の増加を指標の1つとして位置づけており、今後も「マイカー乗るまぁデーくらぶ」を積極的に活用していくこととしている。

JCOMM実行委員会から
 WEBによるモビリティ・マネジメントの効果をデザインの観点から高めることを意図した取り組みです.インパクトのあるキャラクターと「マイページ」におけるゲーム性の高いコンテンツは、「ノーマイカーデー」というキャンペーン施策に興味を持ってもらうために有効であると考えられ,その意匠性が高く評価されています.会員の取り組みの集計結果(成果)がリアルタイムで反映され視覚に訴える点も画期的であり,デザイン賞に選定されました.

                                               (以上、二件、50音順表記)