令和6年度JCOMM賞の受賞者

JCOMM実行委員会では、令和6年4月17日までに、ご応募・ご推薦を頂いた取り組み・研究の中から、令和6年度JCOMM賞の各賞受賞者を選定いたしました。本年度はマネジメント賞2件、プロジェクト賞4件、デザイン賞1件となりました。

第19回JCOMM福井大会にて受賞者の表彰を行います。

マネジメント

バス利用者2倍増達成に向けた戦略計画策定と実行~共同経営推進室を中心とした官民連携の取組~

共同経営推進室/九州産交バス株式会社/産交バス株式会社/熊本電気鉄道株式会社/熊本バス株式会社/熊本都市バス株式会社/熊本県/熊本市/株式会社ケー・シー・エス/太田恒平(株式会社トラッフィクブレイン)/丸山泰(熊本県立大学)

 

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―受賞概要―
 2020年4月、熊本県、熊本市、およびバス会社5社で、「共同経営準備室」※1を発足。当初は複数路線を再編することにより効率化を図ってきたが、コロナ禍を経て利用者が2割ほど減ったこともあり、再編だけでは持続的な運営が困難であることが明らかになった。これを受け、費用削減策だけではなくバスの利用者を官民連携で増やすことを共同経営推進室の一丁目一番地の施策とし、コロナ禍で減った利用者数(1,923万人)を2024年までにコロナ禍前の利用者数(2,600万人)まで戻すこと、更には2030年にはコロナ禍で落ち込んだ利用者数の2倍(3,900万人)まで増やすことを目標に、2022年1月から2年以上に渡り様々な取組を進めてきた。
 まず、企業や行政と連携し、TSMC周辺における工業団地一帯の渋滞問題対策として、バス利用の拡大に向け実証実験に取り組んだ『通勤セグメント』。次に、高校等と連携し、合格者説明会やオープンスクールへの利用促進の取組を実施した『通学セグメント』。三つ目としては、戸別訪問による現状把握からバス会社5社関係なく時刻表が作成できるツール(myバス時刻表)開発、ほか、スポーツチームや商業施設等と連携し、利用を促すインセンティブ施策を実施した『私用セグメント』。最後に4つ目として、高齢者へバスの乗り方教室等を異業種と連携し50回以上実施、外出の動機に繋げるなどの活動を行った『高齢者セグメント』。この様ななか行政も呼応し、2年間で無料の日を4回実施するなど、利用を促す政策的な投資が増え利用者増に貢献している。
 これら取組の結果、2022年は2,291万人の目標に対し2,234万人(目標比98%)、そのうち利用者増の活動による効果は50万人増を達成。2023年は2,322万人の目標に対し2,449万人(目標比105%)、そのうち利用者増の活動による効果は93万人増となった。今回この取組を全国へ発信することで、効率化や利用者数現状維持のみを主な目標としている地域があれば、もう一度公共交通の利用者増加に繋がる施策を至る所でチャレンジしてもらいたい!
※1 「共同経営準備室」は、2021年4月に「共同経営推進室」に改称。

―JCOMM実行委員会から―
 官民での連携、経営者を含めた情報共有、スピーディーな施策の実施など、非常に高い計画性と戦略性を有する取組であると評価できます。またデータに基づく目標設定と経済効果も含めた多角的な効果の定量的な評価の実施、関係者が一体となって取組を行う推進体制は、他の模範となるものです。以上のことから、JCOMMマネジメント賞に選定されました。

 


マネジメント賞

クルマに頼らない「ホジロバ交通」を使った移動支援活動

ふくい路面電車とまちづくりの会

 

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―受賞概要―
 ふくい路面電車とまちづくりの会(略称ROBA:Railway,Omnibus,Bicycle&wAlk machizukuri association)は2002年の発足当初から、「京福電車の即日運行停止」という福井都市圏を取り巻く公共交通の問題解決の矢面に立たされたが、大学、行政、議員、コンサル、一般市民という多様な構成メンバーという特色を生かして、「福井の公共交通を考える」「公共交通活性化アイデア集」を直ちに発行して、住民へ鉄道に乗ることの意義や、鉄道が残ることの意味などについて情報提供を行ったり、セミナー、講演会、イベントなどを実施したりして、行政、企業、住民と連携してそれらの問題に対応して活動を進めた。
 また、ROBAではこれらの経験を踏まえ、クルマに頼らない交通をわかりやすく「ホジロバ交通(歩行者・自転車・路面電車・バス)」と称し、日常生活の移動手段としてホジロバ交通を必要に応じて楽しく利用し、クルマを賢く使ってもらい、ホジロバ交通を有効活用するための活動として、バス電車マップ「ふくいのりのりマップ」(2008年JCOMMデザイン賞受賞)を毎年発行して、小中学校、大学、転入者などへのMM活動に利用し、「クルマをおいてホジロバ交通でまちに出よう!」をテーマに「カーフリーデーふくい」を毎年主催して「ちょい旅」で乗車体験し、乗り方ビデオなどで利用者への情報提供を実施している。
 また、以下の4事業を通じたMM活動を展開している。
 A事業:公共交通をツールとしたまちづくりに関する提言・提案等の諸事業(カーフリーデーふくいほか)
 B事業:路面電車・バス・地方鉄道等、公共交通の活性化に関する普及・啓蒙等の諸事業(バス電車マップほか)
 C事業:LRT(新世代公共交通システム)導入、実現のための諸事業
 D事業:目的を同じくする他団体との交流・連携・協働・啓蒙のための事業


―JCOMM実行委員会から―
 20年以上の長期間にわたって、構成メンバーの多様性を活かした様々な事業が効率的かつ継続的に展開できる体制が確保されています。また充実した広報媒体ツールを用いて、利用転換の好機などをピンポイントに狙いながら、一般から学生まで幅広いターゲットへのアプローチが行われていることは高く評価できます。以上のことから、JCOMMマネジメント賞に選定されました。

 


プロジェクト賞

愛媛県における地域主体型おすそわけ交通の実現と継続

大石一浩(ネッツトヨタ瀬戸内株式会社)/久枝地区まちづくり協議会/NPO法人まるっとおのくめ/NPO法人石井わくわく物語/NPO法人だんだんのわ/東洋タクシー株式会社/四国交通株式会社/有限会社二神タクシー/松山地区第一交通グループ/西堀泰英(大阪工業大学)/松山アーバンデザインセンター/土井勉(一般社団法人グローカル交流推進機構)/鈴木雄(北海学園大学)

 

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―受賞概要―
 愛媛県松山市では,地域主体型おすそわけ交通が徐々に拡がっている.地域が主体となって運営するオンデマンド型の相乗りタクシーであるが,おでかけの機会を「おすそわけ」することから「おすそわけ交通」と名付けた.特筆すべき点が4点ある.
(1)あふれるほどの利用
 人気の高さから予約の取り辛さが課題になるほどである.これは,利用者への対面による丁寧な説明,利用を促進するためのコトづくりを中心とする様々な仕掛けのほか,おせっかいにも,混雑時間を避けるためおでかけ希望日時の変更を提案するなど,個別に生活実態に合った利用方法を共に編み出すことで,利用者のおでかけ意欲そのものを増大することに繋がっている.
(2)心のフレイル予防効果を確認
 事後の効果測定により,回答者の40%程度の人の「心が元気になった」 ことが判明した.このことにより,心のフレイル予防につながる効果が明らかになったと言え,おすそわけ交通,ひいては公共交通が持つポテンシャルを社会的効果という視点から表したものであると言える.
(3)共感型プロジェクト
 なんと言っても特徴的なのは,運営に参画する人の多さである.中でも,協力事業者(≒会費を支払って活動を支える協賛企業)数の多さには目を見張るものがある.これは明確な意図の設定と,企業との対話等がもたらした共感によるものと考えられ,地域スモールモビリティにおける新時代のあり方を提案したものと言える.
(4)高い再現可能性
 松山市久枝地区から始まり,今では4地域にまで拡大している.準備中地域を数えると適用地域の加速的増加を実感している.これはこの仕組みが高い再現性を備えているためである.その要点は,法制度の整理はもちろん,充分な協力事業者を集められる(自治体の予算ありきとは限らない)先例を示したことや,好影響をもたらす関係者とのコミュニケーション実践に対する自信などが挙げられる.

―JCOMM実行委員会から―
 地域の様々なつながりを活用した「おせっかい」という前向きなコミュニケーションによる取り組み姿勢や、高齢者の外出機会創出による心のフレイル予防効果など実施効果が多角的に把握されている点が、高く評価できます。また同様のプロジェクトが既に4地域にまで拡大しており、他の地域での応用可能性が高い仕組みとして今後の展開が期待されます。以上のことから、JCOMMプロジェクト賞に選定されました。

 


プロジェクト賞

社会福祉協議会によるAIオンデマンド交通「ふく~るバス」運行プロジェクト

福智町/社会福祉法人福智町社会福祉協議会/株式会社未来シェア/株式会社千代田コンサルタント九州支店 

 

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―受賞概要―
(背景)
 福智町は、⼈⼝が約2万⼈、⾼齢化率が約37%の町であり、⼈⼝減少やコロナ禍による公共交通利⽤者の減少、交通事業者の⼈材不⾜が深刻な課題となっていた。さらに、町内を唯⼀運⾏する路線バスの廃⽌申⼊を受け、町の公共交通再編が必要とされていた。そこで、令和3 年6 ⽉「福智町地域公共交通計画」を策定し、新たな公共交通として、AI オンデマンド交通「ふく〜るバス」の導⼊に向けて、無償実証運⾏から⾃家⽤有償旅客運送による本格運⾏へ段階的に事業を進めてきた。

(プロジェクトの内容)
 既存交通事業者の参画が厳しい中、福祉バスを運⾏していた福智町社会福祉協議会が運⾏及びコールセンターを担うこととした。住⺠とのコミュニケーション⼒を持つ社会福祉協議会が利⽤者ひとりひとりにきめ細やかなサポートを⾏い、ふく〜るバス運⾏と福祉施策との共創の取組に努めている。運⾏開始前には20 カ所以上での住⺠説明会、福祉バス利⽤者への丁寧な周知を実施し、新たな取組である「ふく〜るバス」へのスムーズな移⾏が実現した。

(効果)
 無償実証運⾏では、利⽤者は右肩上がりで増加し、⾃家⽤有償による本格運⾏移⾏後も利⽤者数は好調であり、1 か⽉4,000 ⼈を超える利⽤者を獲得している。実証運⾏期間中の利⽤者アンケートでは、利⽤者満⾜度100%を記録。⾃由意⾒では、ドライバーやオペレーターの丁寧な対応へ感謝を伝える⾔葉が多く寄せられた。利⽤者からの感謝の⾔葉は社会福祉協議会職員のさらなるやりがいにもつながるなど、利⽤者・運⾏事業者ともに好循環が⽣じている。

(結論)
 これまで、福祉バスを運⾏していた福智町社会福祉協議会が公共交通と福祉視点でのサポートを担うことで、福祉サービスとの共創の視点できめ細かなサポートを実施し、利⽤者からは⾼い満⾜度を獲得している。今後は町公式LINE アカウントとの連携によるweb 予約の利便性向上や定期券・回数券などの新たな運賃サービスの導⼊、温泉施設等と連携した新たな外出機会の創出など、さらなる利⽤促進を図る。

―JCOMM実行委員会から―
 地元住民との高いコミュニケーション力を持つ社会福祉協議会が、バスの運行とともに福祉視点でのサポートを担うことで、交通と福祉の共創へ繋がっている点や、運営主体やAIシステム提供者との連携により、利用者の増加と高い満足度の獲得が図られている点が高く評価できます。さらに近隣自治体にも同様のスキームが採用され今後の応用可能性にも期待できることから、JCOMMプロジェクト賞に選定されました。

 


プロジェクト賞

阪神バス路線で西宮回生病院の無料送迎を代替~尼崎モデル(あまドラモデル)の応用編!共創ノウハウの確立へ~

阪神バス株式会社/医療法人社団西宮回生病院/西宮市

 

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―受賞概要―
背景
 阪神バスは、2021年より尼崎ドライブスクール(以下、「あまドラ」)と連携し、無料送迎を路線バスに代替した実績がある。一方で、深刻化する運転士不足等の影響を受けて、既存バス路線(西宮浜手線)の路線休止も含めて検討していた。西宮回生病院は、独自の無料送迎を運行していたが、職業運転士の不足により、持続可能な運行に懸念があった。また、西宮市は芦屋市との隣接エリアを「公共交通不便地域」に指定し、不便解消に向けた手段を模索していた。

プロジェクトの内容
 阪神バスは、2024年2月23日から西宮浜手線をルート変更し、西宮回生病院への乗り入れを開始した(「西宮回生病院前」停留所の新設)。バスの転回空間確保にあたっては、病院が駐車スペースの区画変更等を、市が走行環境整備のための市道補修を主導し、安全運行に向けた環境整備を行った。
加えて、院内の会計窓口に「バス運賃返金システム」を設置し、病院利用者に対して往路運賃の返金とともに復路乗車券を発行することで、これまでどおり実質無料の輸送を提供する。なお、同システムはあまドラでも導入実績があるが、本取り組みにおいてはICカードでの乗車にも対応可能とした。

効果
1.路線バス事業の持続性向上(新規の輸送人員・運送収入の増)
2.関係者のメリット創出
 西宮回生病院:運転士不足の解消、日曜・祝日の運行実施による利便性の向上
 西宮市:公共交通不便地域(約7ha)の解消・既存公共交通の維持
 病院利用者:実質無料運賃のまま乗り降り可能な停留所の増加

結論
 路線バス事業の持続性を向上させながら、関係者にメリットをもたらす“四方よし”のサービスを実現した。本取り組みが解消を目指す課題は全国的な課題であり、無料送迎を実施する主体は多岐にわたることから、本取り組みをパッケージ化し、他地域において水平展開・再現する際のモデルケースとすることが可能である。
あわせて「共創」という観点では、①関係者で近しいビジョンや今日的な課題を共有したうえで、②一方的な協力要請ではなく、自らが可能な協力を持ち寄り、③目的に対して各自が主体的に動いていくことが、課題の円滑な解消に繋がると考える。

―JCOMM実行委員会から―
 既存バス路線のルート変更による病院送迎バスの代替を通じ、病院へのアクセス向上、公共交通不便地域の一部解消、バス事業者の固定的な収入の確保など様々なメリットが創出されていることが高く評価できます。また施設送迎バスを路線バスによって代替するスキームの汎用性向上により、他地域へのさらなる展開に繋がることが期待できます。以上のことから、JCOMMプロジェクト賞に選定されました。

 


プロジェクト賞

能登半島地震発生を受けた地域公共交通情報提供プロジェクト〜災害対応経験の伝承による運用〜

髙山純一(公立小松大学)/塩士圭介(株式会社日本海コンサルタント)/片岸将広(株式会社日本海コンサルタント)/北陸鉄道株式会社/金沢の都市と交通を考える会(K.CAT)/国土交通省北陸信越運輸局/諸星賢治(合同会社MoDip)/神田佑亮(呉工業高等専門学校)/藤原章正(広島大学大学院)

 

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―受賞概要―
背景と目的
 令和6年元旦に発生した能登半島地震では,被災地の鉄道も道路も大きなダメージを受け,バス等の公共交通での移動も困難な時期が続いた.その後、地域内・外の鉄道・バス等の交通サービスも順次復旧されつつあるが、地域公共交通の全体及び個別の運行状況の把握は極めて難しい状況であった。
そこで、被災地域における鉄道、バス、コミバスや乗合タクシーなどの運行情報を網羅することを目的として、産学官の連携により「能登半島地域公共交通情報提供ページ」を開設した。

プロジェクトの内容
 ①災害時の公共交通情報について,提供すべき方法,情報提供方法,情報の収集と加工の流れ,行政含めた関係者との連携・役割分担を整理した。②情報源は各交通事業者及び各自治体の公式発表に基づくものであり、公式ホームページへのリンクへ誘導することにより、情報の信頼性を担保した。③テキスト情報が多くなると見にくくなるため,詳細は各公式HPへのリンクを参照することとした.④冒頭にワンタッチボタンを配置し,利用者が知りたい情報を見つけやすくするような配慮を行った.

効果
 現地に行くこととなった人からは,状況が掴みやすく良かったという評価の声が寄せられた.また、本取組については新聞社にも複数回取り上げられ社会の注目を集めたほか、国土交通省北陸地方整備局の「災害時交通マネジメント会議」においても本プロジェクトが報告され,実際に行政機関でリンクが貼られるなど,モビリティ・マネジメントの観点での関係機関との連携が進んだ。

結論
 今般の発災にあっては,被災地である石川と,2018年の西日本豪雨時における災害時情報提供のノウハウを持つ広島との連携により,迅速かつ有益な技術伝承が出来た.この経験を社会知として共有することにより,災害時における公共交通のBCP(事業継続)の観点において交通情報提供の問題の抜本的緩和に繋がる可能性を秘めている。

―JCOMM実行委員会から―
 災害時に正確な公共交通情報を網羅的に分かりやすく提供する体制が迅速に構築された点は、高く評価できます。また西日本豪雨災害時の関係機関の連携を発端として、交通情報提供ノウハウを社会知として継承し応用していこうとする姿勢がみられ、今後の災害時における交通情報提供問題への貢献が大いに期待できます。以上のことから、JCOMMプロジェクト賞に選定されました。

 


デザイン賞

紙芝居を活用した交通環境学習ツール

浦添市都市建設部都市計画課

 

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―受賞概要―
 浦添市のモビリティ・マネジメント(MM)施策:浦添市内の小学生においては、3割以上の児童・生徒が車で送迎されるなど、短距離での車移動が日常となっている。特に、送迎交通については、それが起因とされる学校周辺道路の混雑が問題視されている。そのような背景から、本市では、重要施策としてモビリティ・マネジメント教育を位置付けている。
 紙芝居を活用した交通環境学習ツール制作の背景:公共交通利用促進イベントをモノレール駅舎内で実施するにあたり「場所を選ばない、世代を選ばない、事前準備が容易」である公共交通環境学習ツールを新たに制作することとした。そこで、 Webサイト「公共交通トリセツ(トリセツ編集会議:土井勉,井原雄人,塩士圭介,福本雅之,諸星賢治,中嶋伸江)」より『100人の村で地域公共交通を考える』を参考に、浦添市版の脚色を加えて紙芝居を作成した。
 公共交通環境学習ツール制作にあたっての工夫:ツール作成はデザイン専門職員が一から担当し色味やタッチにこだわり、全体を通して完成度が高く仕上がっている。紙芝居は全26頁で幅広い世代に関わる内容となるように脚色を加え、実施時間は大体10分~20分としている。枚数を変えると実施時間や内容の調整が可能で、状況により使い分けができるように工夫した。また、紙芝居の最初と最後の頁に間違い探しの要素を取り入れ、村に公共交通があることでどのような良い効果があったのかを会話をしながら、ゲーム形式で学ぶことができるようにした。
 公共交通環境学習ツールのまとめ:本ツールは紙芝居であることで、多くの人に馴染みがあり扱い方もイメージがしやすいという点で、公共交通初心者にも活用しやすい。事前準備は読み合せる程度で特別なことは不要。持ち運びはツールのみ、人員は読み手のみで実施が可能となっている。一度作成すると何度も使用できるため、上記の事と併せてモビリティ・マネジメント施策の足掛かり的な取組として推奨したい。自治体で多くある担当者が入替る現場でのツールの『扱いやすさ』は持続的な MMの取組に大変重要であると考えている。以上、本ツールが多くの関係者さまの参考になれば幸いに思う。
参考: Webサイト「公共交通トリセツ(トリセツ編集会議:土井勉,井原雄人,塩士圭介,福本雅之,諸星賢治,中嶋伸江)」より「100人の村で地域公共交通を考える」 URL: https://kotsutorisetsu.com/primaly/100village/

―JCOMM実行委員会から―
  間違い探しのようなゲーム要素や分かりやすいイラスト等、様々な世代に「自分ごと」として受け止めてもらうための多くの工夫が盛り込まれている点が、高く評価できます。また場所を選ばずに実施でき、対象者に合わせた加除が容易であるなど、実施者にとっての実務的活用可能性が高く、今後の持続的なMM活動への貢献が期待できます。以上のことから、JCOMMデザイン賞に選定されました。

 


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一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議 事務局
〒615-8540 京都市西京区京都大学桂
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