平成30年度JCOMM四賞の各受賞者

JCOMM実行委員会では、平成30年4月中旬までに、ご応募・ご推薦を頂いた取り組み・研究の中から、
平成30年度JCOMM賞の各賞受賞者を選定いたしました。本年度はプロジェクト賞1件とデザイン賞1件となりました。

受賞者の方には、第十三回JCOMMにて表彰を行います。

 


題目 高齢者のマイカー依存脱却に向けたモビリティ・マネジメント
~運転免許更新制度の改定を踏まえた公共交通利用促進プロジェクト~
受賞者 国土交通省北海道運輸局交通政策部
釧路市地域公共交通活性化協議会
釧路市老人クラブ連合会
一般社団法人北海道開発技術センター
筑波大学公共心理研究室
受賞概要  本プロジェクトは、高齢者のマイカー依存脱却に向けて、自治体や交通事業者の取組みの指針とすべく実施したプロジェクトである。
 近年、高齢者の外出を取り巻く環境は著しく変化しており、とりわけ運転免許更新制度の改定は、高齢者の「運転」という移動手段の喪失に直結する変革といえる。特に、高齢化率の高い地域においては、高齢ドライバーの運転が買物や通院などの家族の生活を支えている現状もあり、運転免許の返納は高齢者本人だけでなく家族全員が熟慮すべき問題となっている。さらに、高齢ドライバーによる交通事故の増加などを鑑みると、安心・安全な移動環境の創出に向けて、高齢者及びその家族のマイカー依存からの脱却/公共交通利用促進は極めて社会的要請の高い課題のひとつといえる。
 そこで本プロジェクトでは、一定程度の公共交通が整備されており、高齢者とその家族の一対サンプルの確保が可能な北海道東部の中核都市である釧路市を対象に、①高齢者クラブ向けのMMレクリエーション、②高齢者及び同居家族向けの動機付け情報の検証を実施した。
 MMレクリエーションでは、市内2か所の高齢者クラブを対象に、「路線バス乗り方教室」「路線バス乗車体験」「ワークショップ」などのプログラムを実施し、その各段階において戦略的アプローチを実践することで、マイカー依存脱却に向けた意識変容や行動変容を図った。さらに、公共交通の整備状況の違いによる態度変容の差異も検証している。追跡調査によると、レクリエーションに参加した高齢者のうち30.2%が「安易なマイカー利用を控えるようになった」などの成果が得られている。
 動機付け情報の検証においては、ブレーンストーミングKJ法やプレアンケートなどを用いながら、統計的手順の元、7つの動機付け情報の有意性を検証して高齢者・同居家族それぞれに効果的な動機付け情報を明らかにし、MMツールとして動機付け情報冊子を作成した。
JCOMM実行委員会から

高齢者及びその家族のマイカー依存からの脱却と公共交通利用促進について取り組んだプロジェクトであり、高齢者のモビリティという社会的要請の高い課題に対し、同居家族との関係性にも着目し、非常に丁寧なコミュニケーションによって意識・行動変容を試みている。本プロジェクトはMM展開の戦略性、他地域への応用可能性も高いことから、JCOMMプロジェクト賞として選定されました。


題目 わった〜バス党 高校オリジナルバスマップ
受賞者 沖縄県企画部交通政策課
株式会社アカネクリエーション
バスマップ沖縄 主宰 谷田貝 哲
受賞概要  沖縄県では学校へのマイカー送迎率が高く、朝夕の交通渋滞に影響を及ぼしていることから、高校生向けバス利用促進策の一環として、中部エリア5校の通学区域にあわせたバスマップを作成・配布しました。
高校生の高校生による高校生のためのマップ
 高校を通じて依頼した生徒会メンバーによる「オリジナルマップづくり」ワークショップを実施。高校生目線による「バスで行ける、行きたいスポット」を盛り込むことで「高校生活でバスが使える」ことへ気づいてもらうとともに、学校・生徒が制作に関わることで愛着を持って継続利用してもらう工夫をこらしました。
バスルート情報を絞り込みわかりやく伝えるデザイン
 複雑さを排除するため、路線は学校最寄りバス停通過路線のみに限定。バス停も掲載スポット付近に絞り込み、シンプルに「行きたい場所へのバスルート」がわかるマップをめざしました。スポットは「娯楽」「飲食」「ショッピング」「施設」「勉強場所」が一目で識別できるよう、アイコンで表記。ベースマップは「バスマップ沖縄」より提供を受け、バスマップとしての機能を損なわないよう配慮も行いました。
どこからいくらで何分で行けるかの目安を提供
 マップに加え、よく行くスポットの最寄りバス停、路線系統、所要時間目安、運賃が一目でわかる「MYバスなびメモ」を掲載、自分で書き込める欄も用意しました。
バス通学生活に役立つ情報も提供
 路線検索サイト、ICカード、学生定期券の紹介や忘れ物の際に必要なバス会社問合せ先も記載。この1冊にバス利用に最低限必要な情報が盛り込まれたオールインワン・ツールです。
手元で携行しやすいサイズ、一目でわかる表紙
 高校生の意見をもとに、ふだん持ち歩く携帯電話ホルダーや財布に格納できるサイズで作成。表紙は「わった~バス党」カラーの赤とキャラクターで統一感をはかりつつ、校章をあしらうなど、オリジナリティも出すデザインとしました。
JOMM実行委員会から 高校生とのワークショップを通じて地図の大きさや盛り込む地図情報を決めていくデザインプロセスがすぐれており、他地域への取り組みの広がりが期待できます。また、アイコンを活用した地図情報や校章を取り入れた表紙のカスタマイズ化など、細部まで工夫されたデザインや統一感のある色彩など意匠性にもすぐれていることから、JCOMMデザイン賞として選定されました。